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2012年9月15日土曜日

うつ病の時に読める本

 うつ病で一人寝ている時……とても虚しい時間……。
 その空白を埋めてくれる本を紹介したいと思います。
 「うつ病の時に本なんて読めねぇよ!」とみなさんお思いでしょうが――と言うか私も読めませんが――ある程度症状が軽い時は読めるんですよ。
 そんな、ちょっと調子がいい時に読むことをオススメする本たちです。


■『スカイ・クロラ』シリーズ/森博嗣
 この世界では戦争が行われている。
 戦闘機乗りはみんな子どもで、大人にならない『キルドレ』。
 彼らは純粋で、真っ直ぐで、大人になるなんてまっぴらだと思っている。
 空に上がってきたなら、敵も味方も同じ。尊敬する、腕を競う仲間。
 ただ、自分が磨けたかどうかは他人を撃墜しないと判らない。
 人々はそこに自分たちにはない異質なものを感じるだろう。
 でもそれは本人たちにとっては、単なるシンプルな『生き方』に他ならない――

 特にオススメは『ナ・バ・テア』と『ダウン・ツ・ヘヴン』。
 彼らの純真さは、読む者の心に穏やかさを与えてくれる。
 戦闘シーンも多いが、読んでいてエキサイトすることはない。
 あるのは、ただ、静かな畏怖の念。
 読後は枕元に置いておくだけでうつの症状が軽減する気がする。





■『ペンギン・ハイウェイ』/森見登美彦
 小学生の「僕」は研究熱心な子ども。
 宇宙についても興味があるし、ロボットだって作ったことがある。でも、まだ海に行ったことはない。
 歯医者のお姉さんといつか一緒に行く約束をしているが、まだ果たせずにいる。
 ある日、お姉さんは僕に秘密を打ち明けてくれた。
 お姉さんは、魔法のように物をペンギンに変えることができるのだ。
 「この謎を解いてごらん」
 僕のお姉さんについての研究が始まる――

 お馴染みの森見節が子どもの皮をかぶった途端、愛らしくなってしまうのは何故だろう。
 短い文章の連なりで書かれているので、疲れたらすぐにきりのいいところで休憩できるのもいい。
 そして読み終えた後は表紙がとてつもなく愛おしい。
 撫でたいのだが、白さが美しくてためらってしまうのが難点。




■星新一
 説明不要。
 ショートショートの神様。
 いつでも読めていつでも読むのをやめられる。




■『暴れん坊本屋さん』『番線』/久世番子
 漫画家・久世番子は、本屋でバイトをしている。
 なぜか?
 本を愛しているから!
 そして漫画だけじゃ食っていけないからだ!

 本屋・出版業界のぶっちゃけ裏事情エッセイ漫画。
 うつ病になっても本を読もうなんてぐらい奇特な人なら読んでおいて損はない。
 オススメの話は『番線』で東京創元社に行く話かな。
 校正さんの仕事内容がよくわかります。
 あと、本屋でよく俺の前に並んで間違ったタイトルを注文してるお前!
 立ち読みして俺の買う本を傷つけるお前!
 これ読んで反省しろ!!
 最後に番子さん、仕事増えておめでとうございます。新装版出るの知りませんでした。




■『3月のライオン』/羽海野チカ
 桐山零。C級1組五段17歳。職業、プロ棋士。

 うつ病の時は、弱い主人公を見ていると自分を思い出して辛い。
 桐山零も弱い。
 友達もいない。
 将棋の腕は確かだが、いつでも勝てる訳ではない。
 そんな彼が『哀れ』に見えないのは、羽海野チカの筆力による産物だろうと思う。
 棋士として成長していくところも面白いが、彼がゆっくりと『日常』を手に入れていく姿もいい。
 だから将棋に興味がなくても大丈夫。
 日常生活もたっぷり描かれているので、その部分だけでも楽しめる。

 ただ、いじめの話は、怖かったな。
 作品が壊れちゃいそうで。
 でも、見事に着地させた。
 羽海野さんの描く作品はいつも危うさが含まれている。
 ちなみに、自分が一番好きなのは自称・桐山の親友にしてライバルの二海堂。
 桐山には勝てず、しかし精神的には彼よりも高みにいる彼が好きだ。
 負けたくない――その一心で将棋を打っている彼が好きだ。





■『ドクター・ラット』/ウィリアム・コッツウィンクル
 ごめん、嘘。
 体調悪い時になぜか一気読みして更に体調悪化した。
 気が狂ったような気分になれること請け合い。




 最近ではこんな感じ。

2012年9月14日金曜日

うつ病が悪化しました。

 7月後半、僕の生活は激変した。
 うつ病が悪化したのである。
 原因は不明。
 しかし「テレビがうるさい」「自殺を考える」「やる気が出ない」「ライターのバイトすらできない」という状態が続き、慌てて病院に駆け込んだ。
 まだ死にたくなかったからだ。
 落ち込み、正常な判断ができない精神状態が続き、周りにかなり迷惑をかけた。
 薬を与えられて、今はだいぶ落ち着いている。

 しかし、どうしても今年中に片付けておかなければならないことがある。
 小説の賞への応募だ。
 『創元SF短編賞』と『ハヤカワSFコンテスト』。
 この二つだけは応募しなくてはなるまい。

 この二つの賞に応募したところで、一区切りつく予定である。
 僕の引き出しがすっからかんになるからだ。

 そうなった時、僕がどういう精神状態になるのか――
 それはちょっとわからない。