二郎は戦争に賛成している訳ではない。
もちろん兵器が作りたかった訳でもない。
そんな二郎の行為を肯定するなら、もっと巧くやる方法がいくらでもある。監督はあの宮崎駿さんだ。できないはずがない。
もっと無邪気なキャラにすればいい。二郎に笑わせればいい。大声で主張させればいい。もっと彼が報われるラストを作ればいい。見ている者が二郎に共感できるような演出をやればいい。
でも、宮崎監督はしなかった。
二郎自身に「戦争は良くない」なんて語らせない。
友人の「俺たちはいい飛行機を作りたいだけだ」に頷くことすらさせない。
絵コンテを読むと、ラストで菜穂子と再会した時、二郎が笑顔になるカットがあった。でも、そこには大きく×印が書かれ、欠番とされていた。
二郎を肯定するなら、このカットを切るはずがない。
僕は宮崎駿監督を『信頼』している。
『風立ちぬ』は、失敗作でも駄作でもない。
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