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2011年6月30日木曜日

『コップクラフト』賀東招二 感想

 実はこの本、読むつもりもなく買った物である。
 Amazonがしつこくオススメしてくるので買ったのだ。
 その証拠に、ずっと積ん読本と化していた。
 おまけに私は賀東招二さんの小説とは相性が悪い。扱いも悪い。
 あの『フルメタル・パニック!』シリーズを一気買いしたが読めずにそのまま売り払ったぐらいの外道ぶりである。
 しかし、この作品は面白かった。一気読みした。
 「なんか中途半端に時間余ったし本読むか」と今日の夕方に読み始めたら、夜には読み終わっていたというスピーディーさである(ライトノベル万歳)。

 物語を簡単に説明すると。
 異世界とつながる超空間ゲートが出現して15年。そのゲートの向こうは妖精や魔物の棲む『レト・セマーニ』と呼ばれる土地だった。
 2つの文化が入り交じった都市・サンテレサ市で、『妖精』が密売されるという事件のオトリ捜査を行っていた刑事ケイ・マトバは、失敗から救出するはずの妖精を持ち逃げされてしまう。
 その妖精を救うべくレト・セマーニの大国ファルバーニ王国から派遣されてきた騎士ティラナ・エグゼティリカと共に共同捜査を行っていくが……。
 というもの。

 最初は道徳観や文化の違いから食い違っていた二人が次第に協調していき、犯人をとっ捕まえるポリスアクションだ。
 目新しさはあまりないかもしれない。
 だが、ファルバーニ語にはpの子音がないので「ポリス」を「ボリス」と発音したり、異世界の風習なんかも少々紹介されてるところはとても良かった。特に内燃機関のないレト・セマーニからやってきたティラナが自動車を怖がるところは良かった。
 架空言語もたくさん出てくるので、辞典を作ってもいいかもしれない(そこまで作り込まれていればだが)。個人的には、その架空言語による小さなオチをラストに用意していてくれればもっと楽しめたのだが、この作品はそういった点に重きを置いている訳ではないようなので、問題なしとしておこう。
 単純明快なアクション物だったので、続きに期待して続刊も買うことにする。

 ちなみにイラストは村田蓮爾さんである。
 いつも安倍吉俊さんのイラストを見せると「ああ、村田蓮爾……」と言う友人がいるが、全く似ていないと言っておく。

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